水道水に塩素(カルキ)が含まれるのはなぜ|理由や季節ごとの塩素量
- 水道水に塩素が含まれているのはなぜだろう
- 水道水の塩素って体に悪く無いのかな?
- 夏は塩素臭が強い気がする
水道水に塩素が含まれると飲みにくいと感じることが多く、塩素は無ければいいのにと考える人は多いです。
この記事では水道水に塩素が含まれる理由を解説します。この記事を読めば、水道水を安心して飲めるようになります。
水道水に塩素が含まれるのは家庭まで安全な水を届けるためです。
塩素を含まない美味しい水道水を飲みたい場合は、次の記事を参考にしてください。
>> 水道水がまずい場合の対処法
水道水に塩素が含まれるのはなぜ?理由と効果
水道水に塩素が含まれるのは次のような理由からです。
- 殺菌・消毒
- 水質の維持
殺菌・消毒
水道水に塩素が含まれるのは、細菌やウイルスを殺菌・消毒するためです。
自然の水には病原菌やウイルスが含まれていることが。これらを取り除かないと感染症が広がる危険があるため、浄水場で塩素を使って殺菌処理を行います。
過去には、消毒が不十分な水が原因でコレラや赤痢が流行したことがあります。現在は塩素消毒で水道水から病原菌を取り除き、安全な飲料水として供給できるようになっています。
塩素消毒は公衆衛生を守るために欠かすことのできないもので、安全な水を確保する重要な方法です。
水質の維持
水道水には給水管を通る間の水質を維持するために塩素が含まれています。
水道水は浄水場で処理された後、長い給水管を通って家庭や施設に届けられます。その過程で細菌が混入・繁殖する可能性があるため、一定量の塩素を残して水質を維持しなければいけません。
日本の水道法では、蛇口から出る水に0.1mg/L以上の塩素を残すことが義務付けられています。これにより、輸送中の水も安全に保たれ、細菌の増殖が防がれます。
水道水に塩素が含まれるのは安全のためなので、塩素が含まれない水道水を家庭へ届けるのは難しいです。
家庭で水道水をおいしく飲みたい場合は、水道水を煮沸する、冷やすなどの工夫を行いましょう。
>> 水道水がまずい場合の対処法
水道水中の塩素の健康への影響・安全性
水道水中の塩素が健康に害を及ぼすことは通常はないとされています。
水道水に含まれる塩素は消毒目的で使用されており、濃度は規制により非常に低く保たれています。
日本では残留塩素の基準は0.1mg/L以上であり、この量は健康に影響を及ぼさないとされる基準です。
しかし万が一次のようなことがあれば、健康リスクがある可能性があります。
過剰摂取
通常の飲用水から得られる塩素量では健康に問題はありません。しかし長期間にわたり大量に塩素を摂取した場合、消化器系や肝臓に負担がかかる可能性があります。
現実的には水道水の塩素濃度は非常に低いため、このような事態が発生することはほとんどありません。
塩素消毒副生成物
塩素と水中の有機物が反応すると「トリハロメタン」などの有害物質が生成されることがあります。これらは長期的に大量に摂取すると健康リスクが高まる可能性があるとされています。
しかしトリハロメタンなどの有害物質も、水道水の塩素濃度が適切であれば問題は起きません。
感受性の高い人への影響
特に敏感な肌を持つ人や呼吸器疾患を持つ人は、塩素の匂いや刺激を感じることがあります。
皮膚や目の刺激、喘息のような反応を示すことがありますが、これも濃度が高くなければ深刻な健康リスクは少ないです。
水道水に含まれる塩素は、適正な基準内であれば健康に害を及ぼすことはないとされています。むしろ、塩素は水道水の消毒において必要不可欠であり、衛生的な水を確保するためには重要な役割を果たしています。
塩素を含まない美味しい水道水を飲みたい場合は次の記事を参考にしてください。
水道水に含まれる塩素の基準値と量
水道水中の塩素の基準値と、実際に自治体ごとに設定している基準値や量は次のとおりです。
水道水の塩素の基準値
日本の水道水に含まれる塩素の基準は、水道法によって以下のように定められています。
- 最低基準:水道水の蛇口で0.1mg/L以上(義務)
- 最高基準:水道水の蛇口で1.0mg/L以下(推奨)
上記の基準は、細菌やウイルスの繁殖を防ぎ、安全な飲料水を供給するためです。
一方で、塩素濃度が高すぎるとカルキ臭が生じるため、水質管理目標設定項目として1.0mg/L以下が目標とされています。
水道水に含まれる塩素の量
水道水に含まれる塩素の基準は、水道法で0.1mg/L以上と定められています。
実際に水道水に含む塩素濃度の目標値は地域や水道局によって異なります。
各地域の水道水中の残留塩素濃度は、水質管理のために定期的に測定されています。
居住地の塩素濃度の目標値や、実際の水道水中の塩素濃度を知りたい場合は各水道局の公表資料を確認しましょう。
季節による水道水の塩素濃度の違い
季節によって水道水の塩素濃度は異なります。次のような要因を総合的に管理することで、年間を通じて安全な水道水が家庭まで届けられています。
- 水温の変化
- 水源の状況
- 水の流れの速さ
水温の変化
水温が高い夏季は塩素の消費が早まり、濃度が低下しやすいです。
水温が高いと塩素の揮発や分解が進んで消毒効果が減少。さらに水温が高いと細菌や微生物が繁殖しやすいです。このため、追加の塩素投入が必要になり、夏季は塩素濃度が高くなります。
東京都水道局のデータでは、夏季の水温上昇に伴い、塩素濃度の管理が重要とされています。 (東京都水道局)
水温に応じた塩素量の調整は欠かせないため、水道水中の塩素濃度は季節によって異なります。
水源の状況
季節によって水源の水質が変化するため、塩素濃度の調整が必要です。
春から夏にかけて、湖底の泥からマンガンなどが溶出し、水質が変化します。
例えば高滝ダム湖では、夏季に湖底からマンガンが溶け出し、水道水の着色原因となることが報告されています。 (千葉県公式ウェブサイト)
雪解け水や雨水が増える春や夏には、河川水が水源として使われることが多いです。これに伴い水質が変化し、消毒のために塩素が多めに使用されることがあります。
塩素量は水源の水質に合わせて調整されるため、水道水中の塩素濃度は季節によって異なります。
水の流れの速さ
水の流速が遅いと塩素の消費が進み、濃度が低下します。
流れが遅いと塩素が水中の有機物と反応しやすくなり、消費が増加します。
香川県の研究では、季節ごとの水質調査で、流速の違いが塩素濃度に影響を与えることが示されています。 (香川県公式ウェブサイト)
水の流速を考慮した塩素濃度の管理が、水質保持に役立っています。
日本の水道水の塩素基準と海外との違い
国によって塩素の使用基準は異なります。
主な国の基準値は次のとおりです。
基準値 | |
---|---|
日本 | 0.1〜1.0mg/L以下 |
アメリカ | 4.0mg/L以下 |
ヨーロッパ | 0.1~0.5mg/L |
シンガポール | 0.2~0.5mg/L |
オーストラリア | 0.2~1.0mg/L |
アメリカの基準値が高いのは国土が広いためです。国土が広いと給水距離が長くなります。給水距離が長い地域では高濃度の塩素が必要です。
ヨーロッパでは水道管の更新やオゾン処理の導入が進んでいます。新しい水道管は密閉性が高く細菌が繁殖しにくいため、塩素濃度を低めに設定することが可能です。
日本の水道水は、安全性を確保しつつ塩素濃度を抑えるバランスを取っています。
水道水に塩素が含まれるのは安全のため
水道水に塩素が含まれるのは、水道水の殺菌・消毒や水質維持のためです。
塩素の基準は、水道法によって次のように定められています。
- 最低基準:水道水の蛇口で0.1mg/L以上(義務)
- 最高基準:水道水の蛇口で1.0mg/L以下(推奨)
上記の基準は非常に低い値のため、健康に影響を及ぼさないとされています。
大人がそのまま飲んでも健康上問題はなく、水道水は安心して飲用できます。
ただし赤ちゃんの場合は消化器官が未熟なため、塩素は取り除くのが望ましいです。
>> 赤ちゃんにに水道水を飲ませるならカルキ抜きすべき理由
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- 安全とは分かっても塩素を飲むのは気が引ける
大人でも、上記のように感じているなら塩素を取り除く方法を考えましょう。特別な道具を用意する必要がなく、いますぐ家庭で実践できる方法は「水道水を煮沸」することです。大きな鍋にたっぷりの水道水を入れて、10分程度沸騰させてください。
水道水を毎日煮沸するのが面倒な場合は、次の方法から取り入れられるものを検討しましょう。
簡単に塩素を取り除く